女性活躍優良事例

「美のプロとして公私ともに大きなビジョンを描けるような環境を整備」

有限会社エイジ

  • サービス産業
  • 西部
  • 31〜100
  • 能力開発・キャリアアップ支援
  • 職場風土
認定マーク
社名 有限会社エイジ
所在地 広島市安佐南区山本1-8-15-101
URL http://www.prosol.co.jp/
業務内容 有限会社エイジは1990年に創業以来、「お役に立つ・美の創造・社会的地位の向上」を基本理念とし、広島で6店舗のヘアサロン「PROSOL」を運営している。店舗内にはエステサロン・ネイルサロン・ウエディングサロンなどを併設し、お客様それぞれに合った「美」を最大限に引き出せるトータルビューティー事業を展開。多くの技術を習得することが可能となる独自のカリキュラムや、ライフステージに合わせて柔軟な働き方ができる環境整備に力を入れており、2018年「広島県働き方改革実践企業」に認定された。
従業員数 67名
女性従業員比率 80.6%
女性管理職比率 83.3%

(2018年4月現在)

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  • 人手不足解消のため、働く環境の改善を図り、「広島県働き方改革実践企業」に認定
  • 子育て中の女性スタッフのみのサロンを設け、働きやすい環境を実現
  • 専門スキルの向上だけでなく経営的観点を学ぶなど、他社や海外への視察も応援

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1. 人手不足解消のため、働く環境の改善を図り、「広島県働き方改革実践企業」に認定

広島県内に美容サロン「PROSOL(プロッソル)」6店舗を展開する有限会社エイジ(以下、エイジ)の女性従業員比率は、80.6%と生活関連サービス業全体の全国平均59.0%(※1)と比べて21.6ポイント高い。エイジでは店長以上が管理職にあたるが、女性管理職比率は83.3%となっており、全国平均20.7%(※2)と比べると62.6ポイント高く、女性従業員比率とほぼ比例している。専務取締役として活躍する出口陽子さんをはじめ、5店舗の店長が女性である。(出口陽子さんの記事はこちら)

図1 生活関連サービス業の女性管従業員比率、女性管理職比率とエイジの比較

3.図1_業界平均とエイジの比較.jpg

※1 出典:総務省統計局(2017年)「労働力調査長期時系列データ 表5 第12・13回改定日本標準産業分類別就業者数」
※2 出典:厚生労働省「平成29年度雇用均等基本調査 図11 産業別女性管理職割合課長相当職以上(役員含む)(企業規模10 人以上)」

理美容業界は従業員不足が深刻といわれるが、意外にも2015年3月末現在の従業美容師数は、49万6,697人で前年より9,061人増加している(※3)。美容師法では、美容師国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受けた者が美容師になることができるとされているが、2015年度中に新たに美容師免許を取得した者は1万9,005人であり、やはり前年度より増加している。このように美容師が多いにもかかわらず、美容業界全体で従業員不足が深刻な問題となっている要因として、美容業界の離職率の高さが挙げられるようだ。

4.三戸社長.jpg「美容師は、お客様の髪をカットするスタイリストとしてデビューするまでに、3年程度アシスタントの期間があるため、その間にやりがいを感じられず、退職してしまう人が少なくありません。また、さまざまなお客様の要望に応えるため、開店時間が長い美容室が多い。それに伴い、勤務時間も長くなりがちで、家庭との両立が難しく、スタイリストになっても辞めてしまうんです。水や薬で手が荒れたり、立ち仕事で体への負担が大きいといった肉体的な問題もあり、最初は『人をきれいにすることが好き』という気持ちで美容師を目指しても、夢と現実とのギャップや、仕事と私生活のバランスをとることで苦しみ、業界から去ってしまう人も多いです。こういった美容業界全体の離職率の高さが『従業員不足』という業界の課題につながっているのだと思います」と代表取締役社長の三戸栄氏は話す。

このような課題がある中、同社は多くの技術を習得することが可能となる独自のカリキュラムや、ライフステージに合わせて柔軟な働き方ができる環境整備を実践し、2018年、「広島県働き方改革実践企業」に認定された。現在も、働く環境の改善と女性活躍を経営課題として重視し、前向きに取り組んでいる最中である。三戸代表取締役社長は「弊社は"美容師の社会的地位の向上"を目指しています。まずは率先して働く環境の改善、それから、施術技術以外の教育も重要と考えています」と話す。

※3 出典:厚生労働省 医薬・生活衛生局 生活衛生課 平成27年 美容業概要 1 美容師数

2.子育て中の女性スタッフのみのサロンを設け、働きやすい環境を実現

「誰もが家族の幸せを願うのと同じように、社員の幸せを願うような経営を行いたい」と語る三戸代表取締役社長は、日頃から従業員とのコミュニケーションを大切にして、従業員がより働きやすくなるような職場環境づくりを心掛けてきたそうだ。その一例が、5年前に大改革を行った広島市安佐南区の「PROSOL山本店」だ。

以前は男女ともにスタイリストがおり、フルタイム勤務の独身従業員と子育て中で短時間勤務の従業員が半分ずつ働いていた。スタイリストの業務は、顧客への施術のみならず、後輩従業員への教育指導、流行の髪型の勉強などのスキルアップ、店舗の装飾や顧客獲得のための販売施策の立案など、多岐にわたる。そういった中で、短時間勤務の従業員に比べ、フルタイム従業員の業務量と負担が増え、「定時で帰りにくい」「仕事を休みにくい」「有給休暇を取得しにくい」といった不満の声が上がっていたそうだ。それを知った三戸代表取締役社長は「それならみんな帰れる、休める店舗にしよう」と、子育て中の母親スタイリストだけの「ママサロン」へと変更した。

5.シャンプー.JPG他の店舗の営業時間が9時~19時で土日も営業であるのに対し、山本店は9時~17時で日曜日は定休。技術のあるスタイリストのみで構成することで後輩の教育をする必要がなくなり、業務は顧客への施術が中心となった。同じように子育て中の従業員が集まったことで、「お互い様」と柔軟に対応し合えるようになり、勤務時間帯だけでなく、気持ちの面でも働きやすくなったという。また、顧客との信頼関係が築けているため、スタイリストの勤務日に合わせて顧客が来店するのだそうだ。結果、山本店は他店に比べ、開店時間が短いにもかかわらず、全店舗内で生産性が最も高い店舗なのだそうだ。

他の店舗でも、介護などの家庭の事情で9時~17時の時短勤務を希望する場合は、会社として柔軟に対応している。また、有給休暇の消化を推奨しており、特に毎年5~10名採用している新入社員から3年未満の従業員は、有給休暇取得率100%を達成できているそうだ。

3.専門スキルの向上だけでなく経営的観点を学ぶなど、他社や海外への視察も応援

専門職の美容師であっても、店長などの管理職や経営層へとキャリアアップするためには、店舗マネジメントをはじめとする経営力が求められる。

月に1度実施される勉強会「NEXT会」では、将来、管理職を希望する従業員が、マネジメントや経営戦略、コミュニケーションの取り方などを学んでいる。また、店長以外の全従業員も、外部講師による数字の読み方、目標の立て方、コミュニケーション強化についての講義を受けているという。

また、従業員にキャリアビジョンを描いてもらうため、「部下や後輩にライフプランとキャリアプランの連動性を伝えよう」「自身のビジョンを明確に持ち、数年後にどんな働き方をしているのか部下後輩に伝えよう」といった内容の研修を、全従業員に対して実施している。

技術研修のみならず、こういった内容の研修を行う理由を三戸代表取締役社長に聞くと「従業員には『美容師』ではなく、『人をきれいにするプロ』という意識を持ってほしいから」という答えが返ってきた。「そのために『どんな働き方をしたいか』『どんな美容師になりたいか』そして『自分はどんな生き方をしたいか』を真剣に考えてほしい。子育てとの両立は大変な面もあると思いますが、子育てが落ち着いた後の人生の方が長いので、若い頃からキャリアを積み上げることを意識して、考えてほしい」と、熱心に取り組む理由を教えてくれた。

エイジでは、スタイリストとして経験を積み、上昇志向の強い従業員には店長を任せ、美容師から店長・副店長といった会社の幹部に立候補できる道を用意することで、従業員が上を目指すモチベーションを引き出すようにしている。また、一般職層の従業員に対しても、しっかりと自分の考えを持ちながらキャリアプランを築く重要性を説く機会を設けている。

この他にも「従業員の移動距離と、業績は比例する」という三戸代表取締役社長の考えから、国内外問わず、従業員とともに積極的に他社へ見学に行っており、今年は韓国で話題となっている美容院にも赴く予定だという。また、会社全体の業績目標を達成すると、2年に1度は海外研修を実施し、2013年には従業員全員でハワイへ行ったのだそうだ。また、個人の知見を高めてほしいとの思いから、会社として海外渡航を推奨しており、有給休暇を取得して自費で行くことも含めて、全体の74.3%が海外渡航を、入社以降数回経験しているという。

三戸代表取締役社長は、従業員が自分自身で気付く、新たな発見と学びに期待し、今後も教育投資は惜しまず行いたいと意気込みを語ってくれた。

取材担当者からの一言

"美容師は肉体労働で労働時間も長く、継続が難しい″というイメージがあるが、エイジは美容師の社会的地位の向上を目指していることが印象的だった。「長い人生を自分の力で生きていってほしい」という思いから、技術面のみならず、経営的な能力、自身のキャリア開発のための教育にも熱心に取り組む。それは会社の業績アップにつながるだけでなく、従業員個人の幸福へもつながっていくのではないだろうか。美容業界は独立をしてこそ一人前という雰囲気があり、個人店舗が多いそうだが、今後、エイジのような会社が組織的に人材を育成し、幅広いサービスを展開することで、美容業界をけん引する存在となるのかもしれない。

●取材日 2018年9月
●取材ご対応者
有限会社エイジ
代表取締役社長 三戸 栄 氏
専務取締役 出口 陽子 氏